盛大にネタバレしますよ。
いろいろちぐはぐな映画。
基本は、少女コミックです。悪いとは言わない。
つじつまはちゃんと合わせている。大変だったと思います。
「台風クラブ」で細い手足で似たような感じで走り回ってた工藤夕貴が、こんななったんやねえというのがちょっとショックであった、あまり最近のこの人を見てなかったもので。
カナ、この人が歌手したいことを軸に話が進むのですから主人公といっていいはずですが、それにしても人物像の掘り下げが足りない。
高校にちゃんといって自己肯定的な性格で鍵盤もあんだけ弾けるんだからそこそこまともに育てられてきたと思うのだが、家族の影がいっさいないのが不思議。このへん、はじめのうちに説明があったのが私の耳が悪くてわからなかったのかもしれない。字幕のない映画はわかりにくい。
この人は基本的には流されてるだけの人です。
で、アル中演技にドラッグに手を出しかけるところまでいくが、基本ヨゴレてないんですよ。
人物設定に文句つけるのは筋違いにしても、そもそも、冒頭でもタツオの部屋で夜タツオはこの人を微笑んでみてるだけ。結構な話やけど、なんかこの女優には性的なもんの気配すらさせたらあかんかったんかいな。
使い方に制約があったならそれはかわいそうではある。
で、キリが、自己肯定できず、その結果(とだけは言えないが)いろいろなものがまずく回ってしまったのが、「あの人は大切なことほど言えない」という言葉で母親と和解、自分を許すことですべてがうまく回るというおとぎ話でして、お話としては実はこちらがメインです。いちおうキスもこなしている。
カナとは対照的に家族の描写の厚いこと。各人問題点のみ描きましたというのはわかるんですけどね、極端で違和感すら感じる。
こちらからみると、カナは狂言回しに過ぎない。巻き込まれたとさえいえるカナが怒るのはまああたりまえやけど、そんなことでまっすぐ歩けないカナもカナやで。
最後の、ラジオから流れるカナの「青の帰り道」は、画面としてはわかりますけどね、業界との関係も何とかなったという説明も兼ねてるんだろうが、地味にライブハウス巡り、というのがリアルなとこなんではないですか。
救いがほしいのかもしれんけど、あまりの嘘くさいハッピーさにエミール‐ヤニングス「最後の人」のオチを思い出してしまった。
ところで、狂言回しのカナのまわりにこそ、都合よく神様がうろうろする。
そうしないと話がうごかないからです。
医者の息子で、一緒に歌をやろうとして上京できず死ぬタツオが、この人間関係の中で唯一のクリエーター
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