コンビニ受診バリア
2011-09-09


知人の半僻地病院であるが、他科の医師も減員されて全体に余裕がなくなってきたそうだ。当直頻度もあがってきたらしい。

で、開業医もそれなりにできてきて、初診については、紹介システムもできているのだが、予約があって症状もかわらないのに、他科受診ついでに、もしくは、薬をもらうついでに、受診する患者が後を絶たないという。

予約の完全無視ですね。ついでにというのはまあ、気持ちは分かるが、あたりまえになってしまっては予約の意味がなくなってしまう。

で、あきらかに症状のかわりない予約無視の症例は、受付順がどうでもほかの患者を優先して後に回し、なおかつ診察時、大きなかわりがないなら予約どおりにくるようひとこと言うそうである。繰り返すならもう予約はとりません、そうなると毎回初診扱いです、薬外来の薬も出しません、とも。

患者は不満そうに、ついでなのでとか、心配なのでとかいうそうですが、予約システムがある以上そこそこのっかってもらわないとねえ、といっていた。もちろん急変したとかいうなら別。

また、予約無視でくる場合は検査もなるべく控え、あらためて予約どおりにこさせることもあるそうだ。

コンビニ受診を減らすためには、実害がない程度にバリアをつくっておかないとどうにもならないというのであった。

そんなバリア、たぶんいつまでたっても患者側には定着しないとは思うが、「それがあたりまえ」という体制をつくっておく、いいかえると、コンビニ受診はあとまわしという態度を医療機関側が方針としてもっておくのは大切なことだろうとは思う。

それもこれも、医療が「お安すぎる」のだ。

コストに相応なものしか手に入らない、のはあたりまえであって、「ええもん安い」のはおかしい。「大量生産で、一定品質製品がそこそこ低価格で手に入るようになった」高度成長期の現象を、大量生産できないものにまで求められると思うのがおかしいのである。

「華中華」というコミックがあって、モンスター化した安食堂の客をどこまでいっても主人公が甘やかすという非常に嫌いな設定になっている。ま、読まなきゃいいんだが。
今回はまたひどかった。大人数を相手にする安食堂の定食チャーハンに物言いをつけるアホがいて、対策に卵をつけるというのはいいんだが、なんで29円で仕入れた卵を30円でつけるんだよ。買う手間、デッドストックや廃棄のリスク、あれこれ考えたら50円にしてもいいくらいだ。仕入れ値しか考えないで店をつぶすアホ店主というと織田作之助のネタにもなってたんじゃなかったっけ。

この「華中華」はいまだにそういうアホ設定をしているが、「モンスター、クレーマーをどう扱うか」というネタがあちこちに増えてきたようには思う。
こうなるとまた日本人は極端だから、一気にクレーマーバッシングに走りそうな。我慢していきなり切れるよりは、日ごろからきっちりそうならないように、コンビニ受診バリア体制をつくっておいたほうがお互いのためなんじゃないですかね。
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