2012-03-17
かなり前のお話。内容と音声は、プライバシーに配慮し、事実の理解が出来る程度に改変してあります。そっくりな事例があってもそれはたまたまです。
たまたまだから。
それ以前に白内障手術の説明した後、当院にこなくなったご婦人が半年ぶりにやってきた。
ORT が首をかしげて、視力だけ測ってカルテ持ってきた。
きくと、近所で開業した若手の先生のとこで2ヶ月前に両眼の白内障手術受けたそうなのだが、右眼は-0.5D、左眼は-2Dの近視。これ自体はモノビジョン(それぞれの眼で近くと遠くを見るようにあわせる)を狙ったんだろうが、どうもよくわからないことをいってるらしい。
うちで白内障手術の説明を受けたが、病院は待ち時間が長いし、たまたま見たチラシに手術のことが書いてあったからと若手開業医のとこにいって、おばちゃまがいうにはろくな説明ないまま次の週に手術受けた。遠くにピントはあっててしばらくよかったが、近く見るのに不便で眼鏡をつくっても頭が痛くなった。自分はもともと近視のはずだ、で、もっぺん手術受けた。レンズを左眼にもう一枚入れたら、左右差で今度は耳が痛い。もう手術は出来ないといわれ、ドライアイの点眼のみ出ている、なんとかならないか、と、怒涛のようにお話しになる。
一方的な説明では、なにがなんだかわからない。そもそもなんで私に言うのか。私はたしかに手術の説明したけど、他施設を選択した時点で私には一切かかわりない話のはず。
散瞳してみたが、落屑症候群で瞳孔は開かない。でも、レンズはたしかに2枚入ってる。話きいて有水晶体レンズかと思ったが厚い。
左右差をなくすなら、レーシックかもしれんが、レンズ2枚目わざわざ入れてまたそれをレーシックなんてなにやってるかわからんし、やってくれる施設もないだろうと思った。このにぎやかな症例にレーシックなんて自殺行為だろう。
別の手は、残った眼にもピギーバッグすることだろうけど、でもねえ、、、この状況って、なにやっても泥沼みたいな気がするのですよ。両眼近視にしてそれでまた不便と言い張りそうな。
内皮細胞はまだそこそこしっかりあるので(つまりそんなに下手ではない)、あらためてレンズを抜くのも手だが、小瞳孔だし、いまさらやるのはちょっとねえ。すくなくともそのレンズを入れていない私はしたくもないしする筋合いもないが、そうじゃなくてもトンネルも掘らず折りたたみレンズばかり触ってる術者だとハードル高いだろう。
2枚目のレンズを入れてからまだ1ヶ月もたってない。まずは慣れるようにしてみて、無理ならコンタクトでもして屈折そろえるようにしたらどうか。どこにそろえるのがいいかによって対応も変わるだろう。
左右差がきつすぎるとぶうぶうのたまうのだが、片目を近くに使うならこれでおかしくないし、そもそもそんなになんでも狙い通りにいくわけないのです、人間の手術は規格部品を交換するわけではない。こういう状況で左右差に慣れている人もいくらでもいる。
開業医のことはよく知ってる。そこそこ普通の若手だから、こんなに変なことしてるのだったら、それはこのおばちゃまがそうさせたに違いない。
私がはじめに説明した患者に手術したのではあるが、私がしてたら私があれこれ言われてただろう。だから、決して彼のことは悪くは言わない。
今後の選択肢に関してそこそこちゃんと説明し、慣れるよう様子みて、点眼も、いろいろあるけどうちで勝手に出すとややこしくなるから開業医に聞いてください、細かいことが分からないので私は手を出しづらい。それでもなにかできることがあるというなら相談してください、と、お帰しした。
で、その後、なにかの用事で眼科医会のほうにいったらその若手開業医君に出くわした。あれなにがあったん?と、ちょっと水向けただけで、困ってるんですよ的な表情。
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